2018年7月19日木曜日

20180718 姜尚中 維新の影

今年は明治維新から150年にあたる。
政府は「明治150年」関連施策を推進している。

1 明治以降の歩みを次世代に遺す施策
2 明治の精神に学び、さらに飛躍する国へ向けた施策
3 明治150年に向けた機運を高めていく施策

アジアの国々の中で最初に近代化を成し遂げた明治維新の精神を、これからの日本の指針にしたいということらしい。

明治維新の精神は、佐久間象山の唱えた「和魂洋才」という言葉にあり、「和魂洋才」こそ日本の世界に対する強みであると。

日本の「明治以降の歩み」では、成功体験が、そのまま転落につながった。

日清・日露戦争勝利により「一等国」になったが、第二次世界大戦で敗戦した。
戦後の高度経済成長により「経済大国」になったが、バブル崩壊後、デフレに苦しむ。

しかし、明治維新については、負のイメージがない。
近代国家の夜明けという輝かしいイメージが強調されている。

日本の近代史における成功体験のうち、負のイメージがないのは明治維新だけかもしれない。

しかし、2度原爆を経験した日本が、戦後50基もの原発を建設し、最悪の原発事故を起こしている。

近代化の影では、公害、差別、貧困等の問題が生じた。

これらの問題に共通してあるのは「国家のための国民たれ」という思想ではないか。

国家にとって有為な国民であれと、自身にそして他者に向ける無言の圧力。
その無言の圧力が、差別と格差を拡げ続けている。



日本人であることが、そんなに偉いのか?
韓国人であることが、そんなに偉いのか?
中国人であるこたが、そんなに偉いのか?

いろいろなことを目の当たりにしながら、どんどん忘却していく日本人のオプティズムを、姜尚中は鋭く指摘している。