外泊で家に泊まっている家内です。
突然、普通に話し始めました。
夜中の2時です。
”2時とは思わんかった。植物の電気が消えてる”
水耕栽培器のことです。
”うん、朝6時について、夜10時に消えるねん”
いや、そんなことはどうでもいい、何をしゃべってるんだ僕は。
涙が出てきた。
”どんな感じ?治ったの?普通にしゃべってるよ”
”わからへん”
違うそんなことを言いたいんじゃない。
”ぼくの一番大事な人や”
”うん”
一時的に正気になったのだけかもしれない。
”今までのこと覚えてる?”
”うん”
”僕に何かしてほしいことある?”
”ううん、ない”
あれ?、ちょっと?、そうなん?
”眠たいの?”
”わからへん”
また、寝息をたて始めた家内。
僕は、眠れません。
また、家内の意識がどこかへ行ってしまうかもしれない。
喜びと不安と。
焦ってはいけない。
この病気は時間がかかると、主治医からも、福祉センターの方からも言われている。
発症して6ヵ月、まだまだかかるはず。
落胆するのが、怖い。
明日の朝の家内の様子がどうなっているのか、予想がつかない。
でも、着実に良くなっているのは確かなようだ。
そう思いたい。
僕は眠れない。
不安だ。
喜びだ。
眠っている家内を起こして、もう一度確かめたい。
だめだ、睡眠をじゃましちゃいけない。
疲れているはずの家内。
がりがりに痩せてしまった家内。
今は、このまま寝かせてあげよう。
僕は眠れない。
不安と希望の夜を起きている。
焦るな。
明日、家内が今まで通りでも落胆しないよう自分に言い聞かせる。
そんなに急に治るのか?
そんな話はネットでも見たことがない。
そうだ、やはり一時的なことだ。
比較的調子が良い日、という表現はネットで何度も見た。
調子に波があるのだろう。
さっきは、その比較的調子がいい時に目が覚めただけかも知れない。
喜びが大きかっただけに、明日が怖い。
僕は眠れない。